こちらでは典型的な相続に関する事件について書かせていただきます。どうぞご参考になさってください。
秋から冬の季節の変わり目、木枯らしが肌身に沁みる頃、当事務所の看板をご覧になりぶらりと60年配のご婦人が訪ねて来ました。ご主人が亡くなられすでに10年程が経っているとのことで、家屋や土地の登記はそのままにしており、ご主人の名義のままだということで、ご自身の老後の資金として不動産を処分したいとのご相談でした。お話を伺っているちに相続人に該当する方は奥様のほかにご主人(次男)の兄弟が3人おられ、長男に当たる方はすでに死亡しているとの事ですが、その方には子供さんが2人いるとの事です。当職としてはまずは相続登記をし、次に相続人全員で(長男に当たる方の子供さんをふくめて)当該不動産の処分を検討なさる道筋になるかとお伝えしました。その際、御主人につくされた奥様の事を思いばかり、売買価格を考慮して、ご兄弟の皆さん全員の相続放棄も検討なされたらとアドバイスを致しました。
M子さんが、御来所なっさた時の事です。M子さんのお父様がなくなられ相続のご相談にお見えになられたのですが、お母様はすでにお亡くなりになっており相続人はM子さんおひとりであると思っていたそうですが、戸籍簿を取り寄せてみたら、なんと仕事一途の謹厳実直なお父様に隠し子X君がいた事が判明したのです。M子さんは動揺を隠せず(まだ二十歳そこそこでかなりの美貌の持ち主です。)、家屋や預貯金はどうなるのでしょうかとご心配のご様子でした。そこで当職としては、認知された子は法律上実子と相続分は同じである旨、今回の事件ではM子さんとX君と2分の1ずつになる事を述べ、又、思い出のあるご自宅や諸々の財産の散逸を防ぐ方法としてはお二人で話し合い金銭等で解決するか、それが芳しくないようでしたら裁判所の調停を頼むしかないと伝えました。どちらにしても非嫡出子であるX君には罪はなく相続分は当然の権利としてあるので、M子さんにすれば非常に心痛む事件となりました。
直接には特定の相続人に相続が発生する事件ではありませんでしたが、印象に残る事件がありました。Kさんは当年とって65歳、40年強にわたる会社勤めが終わり、ようやく年金暮らしが開始したところです。Kさんは生涯独身で身寄りもなく天涯孤独、気軽といえば気軽、寂しいといえば寂しい人生でしたが、人生も終盤にかかりもしも認知症になった場合や死後の事が気がかりになりご相談にこられたの由。当職も独身の為、他人事とも思えずお答えしました。相続人がいない場合Kさんの財産は国庫に帰属する旨、もしもですが、遺言書を作成して志しのある福祉法人などに寄付するという選択肢もあるという事をお話しし、心身が健康なうちに任意後見人制度もお考えになられたら万全ではないかと提案致しました。そして死後のお葬式などの事も考え死後委任事務契約というものが有ることをご説明して、心なしかお顔も少し安らぎ帰途につかれました。
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